
英語力を試し、異文化の中で挑戦するために参加したフィリピンでの起業体験型インターン。現地の課題に向き合いながら、人の温かさと学びの深さを実感した10日間でした。
名前:H.Sさん
年齢・属性:大学2年生
参加プログラム:セブ島の起業体験インターンシップ
期間:12日間
参加時の英語力:初中級
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参加した理由
私が今回の留学に参加した理由は、大きく三つあります。第一に、学生のうちに一度は海外で生活を経験してみたいという思いがあったことです。これまで国内でしか学んできませんでしたが、異なる文化や価値観に直接触れることは、視野を広げるうえで貴重な体験になると考えました。
第二に、本プログラムでは二年生の段階で海外インターンシップに挑戦できる点に大きな魅力を感じました。通常は学年が上がってから挑戦する機会が多い中、早い段階で実際の職場に関わる経験は、今後の学びやキャリア形成にとって大きな糧になると考えています。
第三に、自分の英語力を試してみたいという気持ちがありました。これまで授業や独学で学んできた知識が、実際の生活の中でどれだけ通用するのかを確かめたいと思いました。特に英語でのやりとりを通じて、自分の弱点を明確にし、今後の学習につなげたいと考えていました。これらの理由から、本留学に参加することを決意しました。
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研修内容について

今回の海外インターンシップでは、「フィリピンで実際に起業するなら」というテーマのもと、2グループに分かれて起業案を考えるプログラムに参加しました。ファーストピッチや中間発表、メンターとの壁打ちなどを通じて、ほぼ毎日のように起業家の方々にプレゼンテーションを行い、フィードバックをいただきながら案を練り直す日々が続きました。
起業案が決定してからは、グループ全員が同じ目標に向かって協力し合うことができましたが、案を決める段階では「どのような課題に取り組むか」「誰を対象にするか」などで意見が分かれ、なかなか話し合いが進まず、グループ内の空気が少しギクシャクする場面もありました。10日間のうち、半分以上の時間を起業案の検討と構築に費やしましたが、その過程で多くの学びがありました。
一方で、アイランドホッピングやキャニオリング、シュノーケリングなど、フィリピンならではの自然を満喫できるアクティビティにも参加することができ、リフレッシュしながら異文化を体感する貴重な時間もありました。起業家の方々との対話を通じて、社会課題への視点や実践的な思考を深めることができ、非常に有意義な経験となりました。現地での活動を通じて得た気づきや学びは、今後の自分自身の行動や価値観に大きく影響を与えてくれると感じています。
研修先について
研修先であるフィリピンでは、貧富の差が非常に大きく、裕福な暮らしと厳しい生活環境がすぐ隣り合わせで存在している現実を目の当たりにしました。日本ではなかなか実感することのできない深刻な貧困の姿を知ることができ、社会の構造や課題について深く考えるきっかけとなりました。
一方で、フィリピンの人々は非常にコミュニケーション能力が高く、誰に対しても明るく、親しみやすく接してくれました。和気あいあいとした雰囲気の中で、優しさと温かさに何度も救われました。厳しい現実がある一方で、人々の笑顔や前向きな姿勢に触れ、フィリピンという国の魅力を強く感じました。人との関わりを通じて得た学びは、今後の自分にとって大きな財産になりました。
参加して分かったこと
起業案を考えるため、私たちはフィリピンの孤児院と水上スラムを訪問しました。到着直後から環境の違いを感じていましたが、実際に目にした光景は想像以上で強い衝撃を受けました。二日目には、日本人のAnyaさんが運営するNGO「Anya’s HOME」を訪れ、子どもたちとゴミ拾いを体験。裸で遊ぶ子ども、常温で売られる食材、絡まった電線、ゴミをあさる野良犬、強烈なにおいなど、写真では伝わらないスラムの現実を実感しました。
活動後のAnyaさんの言葉は特に印象的で、「十人に伝えて一人に響けば十分」という姿勢に心を打たれ、自分も“伝える力”を持ちたいと思いました。三日目には水上スラムでバジャウ族の子どもたちにおかゆを配給。野菜を細かく刻む理由が「子どもが食べないから」と聞き、日本の子どもと同じ一面に胸が痛みました。塩と米だけのおかゆが日常と知りつつ笑う子どもたちの姿は、忘れられない体験となりました。
苦労したこと
今回の滞在を通じて、私は2つの困難を経験しました。一つ目は、現地の方々へのインタビュー活動です。起業案を考えるにあたって、実際に街に出て、ゴミ問題やインフラの課題について住民の声を聞こうと試みましたが、言語の壁が大きく立ちはだかりました。英語が公用語の一つになっているフィリピンですが、ローカルな場所ではタガログ語しか話せない方が多く、そもそもインタビューに応じてくださる方も限られていたため、現地の人々がどのように問題を捉えているのかを深く理解するのは、容易ではありませんでした。また自分の英語も、発音の違いなどから伝わらないこともあり、コミュニケーションの難しさを痛感しました。
二つ目は、生活環境の違いによる戸惑いです。例えば、トイレットペーパーはトイレに流すことができず、使用後は備え付けのゴミ箱に捨てる必要がありました。外に出ると、車が歩行者のすぐそばまで迫ってきたり、ゴミが散乱し強烈な匂いが立ち込めていたり、歩くだけで現地の空気の重さを感じました。これらの違いは、日本での生活では当たり前とされていることが、海外ではそうではないという現実を突きつけてくるものでした。初めての海外経験だった私にとっては、驚きとともに「本当に海外に来たのだ」という実感が強く湧いた瞬間でもありました。
生活について

滞在した寮は清潔で過ごしやすく、食事も隣のカフェの手作りで毎回とても美味しく、快適に生活できました。一方で、お風呂やトイレの使い方が日本と大きく異なり戸惑う場面もありましたが、シェアハウスならではの共同生活を楽しむことができ、10日間という短期間でも参加者全員と交流できました。夜には共同スペースでカードゲームをするなど、自然と仲が深まりました。
移動には現地で主流の“Grab”が便利で、使いやすく料金も安く助かりました。また、寮の隣に英語教室があり、先生と会うたびに英語で話す機会が多く得られました。集団授業では緊張して発言できないこともありましたが、一対一では「伝えたい」という気持ちから積極的に話せるようになり、英語への自信にもつながりました。
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研修以外で学んだこと

先生と一対一でお話しした際に、「恥ずかしがらず、そして失敗を恐れずにどんどん発言することが大事です。失敗してこそ成長するのです。」という言葉をいただきました。これは、私が英語で話すことに少し勇気がいると打ち明けたときに、先生が返してくださった言葉です。その言葉に大きな力をもらい、研修中に英語を使う場面ではもちろんのこと、プロジェクトに対して自分の意見を述べる場面や、皆の前で発言する場面でも、積極的に行動することができました。
普段から自分の考えをうまく言葉にすることが苦手な私にとって、これは非常に大きな出来事でした。これからの生活においても、この言葉を胸に刻み、失敗を恐れずにさまざまなことに挑戦していきたいと考えています。
参加前に準備しておけば良かったこと
一つ目は、万が一に備えて薬を十分に持っていくことです。私は整腸剤や風邪薬は用意していましたが、解熱剤や吐き気止めを持参せず、最終日に発熱と嘔吐で一日を潰してしまい、発表にも参加できず後悔しました。
二つ目は、日常で使える英語表現をもっと覚えておくことです。「どこへ行きたい」などは言えても、「〜してもいいですか?」といった丁寧な表現がすぐに出ず、店員さんや先生にうまく伝えられない場面がありました。
三つ目は、日本食を数食持っていくことです。十日間でも日本食が恋しく、持参した味噌汁はすべて使い切りました。食事が合わないときのためにも、おかゆや味噌汁など安心できる食べ物を持っていくことをおすすめします。
今後参加を希望している学生へのメッセージ
今回の体験を通じて、私は“現場に立つこと”の重要性を強く実感しました。みなさんもスラム街とか貧困格差についてとか、全く知らないということはないと思います。授業やインターネット、動画などで見たこと、聞いたことがあると思います。しかし、教科書や資料、動画では決して伝わらないものがあります。私は訪れて初めて、現地の空気、匂い、音、温度、そして人々の表情を五感で受け取ることで、初めて本当の意味で理解できることがあるのだと気づきました。
この経験は、私にとって非常に貴重であり、今後の活動や思考に大きな影響を与えると感じています。大変なことも苦労したことももちろんありましたが、それ以上にこの留学に行くことができてよかったと心から思っています。また、大学のプログラムを通じて留学の機会が与えられていることは、大変恵まれたことです。少しでも行きたい気持ちがあるのであれば、迷わずに参加すべきだと思います。
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